今回は暦物語 第二話「こよみフラワー」について、作中に登場する言葉の解説をしていきます。物語シリーズの時系列で言うと、「化物語 ひたぎクラブ」の翌日から始まるお話です。
ここでは難しい言葉・言い回し・言葉遊びを取り上げています。
暦物語
暦物語
著者:西尾維新
出版:講談社
刊行:2013年5月20日
こよみフラワー
暦物語53~87ページ
登場キャラクター
阿良々木暦・戦場ヶ原ひたぎ・忍野メメ
chapter 001
板子一枚下は地獄
(略)53ページ
板子一枚下は地獄
直後に”漁師が使うたとえ”という暦の語りがありますが その通り、船乗りの仕事が非常に危険であることです。船乗り以外にも、危険な職業に携わる人がわが身を船乗りになぞらえて言うこともあるようです。
深窓の令嬢と呼ばれたあのクラスメイトならば、(略)
53ページ
深窓の令嬢
戦場ヶ原ひたぎのことですね。「深窓」とは家の中の奥深いところを意味し、身分の高い家で大切に育てられた女子の表現です。「箱入り娘」に近いですね。
chapter 002
「とんだネガティブキャンペーンだよ。マイナスプロモーションだよ」
56ページ
ネガティブキャンペーン
他社製品の欠陥や短所を強調して自社製品を売り込む宣伝方法のことです。暦の短所を独り言で呟く戦場ヶ原へのつっこみです。販売促進のための宣伝がマイナスに働くことと例えているのですね。
「ふむ。やっぱり私には不向きみたいね
アルマイト」60ページ
アルマイト
戦場ヶ原のセリフです。暦とアルバイトについてのやりとりのなかで出てきたこの単語。アルミニウムの表面を酸化アルミニウムの被膜で覆ったもので、いわゆる和製英語らしいのですがもとは商標名のようです。
(略)彼女の突飛なアクションには既に慣れっこだった僕は、反射的に戦場ヶ原の動線を遮った。
65ページ
突飛
ふつうでは考えられないほど変わっている(風変わりな)さま。
動線
人や物が移動する方向・軌跡・頻度などを表示し、建築設計や都市計画などの指標とする線。
chapter 003
(略)別段意に介することもなく、スルーしたのだと思われる。
72ページ
意に介する
気にかける・気にすること。打ち消しにする場合は「意に介しない」ではなく「意に介さない」と使われます。「こよみストーン」に登場した祠は気にせずスルーした戦場ヶ原。
そこには確固たる目的があるのか、意図があるのか、それとも
74ページ
確固
しっかりとして動かないさま。置かれた花束にしっかりとした目的があるのか となります。
chapter 004
(略)なあに阿良々木くんとは満更知らない仲じゃあない、今回だけは特別に、ロハで教えてあげよう
78ページ
満更
否定的表現で「必ずしも」という意味で使われます。満更でもないでは「必ずしも悪くはない」になります。
ロハ
ただ・無料のことです。只がカタカナの”ロ”と”ハ”に分けられることから言われる俗語のようです。
それを聞くとなんだか殊勝な心がけのようではあるが、しかし、(略)
82ページ
殊勝
もっともらしく、神妙にしていることです。
chapter 005
毒舌じゃねえかよ。(略)
85ページ
毒舌
辛辣な皮肉や悪口を言うこと・またその皮肉や悪口を指す言葉です。戦場ヶ原は基本的に毒舌ですよね。
まあ、ジンクスとは言え、落下対策なのだから、仕掛ける側としては、たとえその齟齬がわかっていたとしても、(略)
86ページ
ジンクス
勝負事の世界などで、その事柄と因縁があると信じられている事柄。また、よい・悪いの縁起を担ぐ対象となる物事のことです。英語ではjinxと書きます。
齟齬
物事がうまくかみ合わないこと。事故などがあった場所に花束を置きますが、作中では落下対策として屋上に置いてありました。
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